医療施設の聖域で、自惚れの魅力に負けて医者のプロ意識が揺らいでいた。仕事柄身構えていたはずのオフィスで1人、こっそり男根を解き放ち、愛撫される準備をしていた。知らぬ間に1人の患者が入ってきて、その単独行為を中断した。部屋には気まずい沈黙、宙に浮かぶ触知しそうな緊張感が充満していた。その光景に油断した患者は、何を言おうかどうしようか迷い、固まったままだった。恥ずかしさに火照った医者は素早くズボンをたくし上げ、僅かに残っていた尊厳を救おうとした。出会いは、肉欲の衝動を抑えきれなかった医者への証、余韻の不快感を残した。理解はしたものの、平行行のはずの男に対する失望感の疼きを感じずにはいられなかった。その出来事は、個人が最大限の免疫力を持たないことを思い知らされた。.